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以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

スタートアップの本当の競争優位は「自らが大きな物語を信じる」ことからしか生まれないのではないか?仮説を唱える。

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テレパシーワンの取材でよくお受けするご質問なのですが「機能仕様、性能」などは当然として「いかにグーグルグラスと戦うのか?」は良く出てくる質問なのですね。実はこの件に関しては僕は幾つかの仮説を持っています。

 

まず、一つ目は「2010年代のテクノロジー製品はスペックやファンクションではなく、カルチャーやムーブメントとして受け入れられる必要がある」と言う仮説です。

そもそもグーグルが継続的に最強スタートアップであり続けるのは、恐らく「人類の叡智をアクセス可能にする」会社のアイデアやビジョンがとても素晴らしい運動体として社会的に大きな貢献を続けており、その理念や文化の素晴らしさが人の心を"技術を通じて"打ち続けているからではないでしょうか?

それはアップルやアマゾン、フェイスブックなどもきっと同じで、大きなビジョンを大きな製品としてデリバリーできる、大きな物語を自ら体現しているからこその強靭さ、奥行きのある豊かさ、臨機応変な機敏さが発揮できているのだと感じます。

それはグーグル本社を訪れても、フェイスブック本社を訪れても、アップル本社を訪れても、あるいはアマゾン本社を訪れても感じる、ある種のコモンセンスの様に想います。

テクノロジーの未来を信任して、その先行きにコミットをし続ける楽観主義こそが彼らの最高の武器なのではないか?この感慨を常に感じています。

ですから、翻って言うなら、テレパシー社も彼らに負けない大きなアイデアやビジョンを強く持ち続けていない限りは、先ず勝負にすらならないと思っています。

それが結果として多くの人の心を打ち、巻き込み、運動体として社会的ムーブメントに成るくらいのパワーが持てない限りはきっと凄く小さい製品に終わりますし、エコシステムなどは構築しようが有りません。

 

で、その次の仮説なのですが、そもそもそういった強固で大きな物語を持ち続けるには、「そのカンパニーはそのカンパニー独自の文化を育て続ける他ない」し、それ以外にやりようは無いと考えています。

つまりよく言われることですが「自らが得意と思えることにこそ集中して鍛錬していくしか無い」。例えば、テレパシーの場合は「Wear your love」ですから、"人が人とより親しい関係を醸造できる"コミュニケーションを実現できない限りは、その製品は全く無価値です。

そしてそれを最も巧く行うには最もそれに精通していて、あらゆるアイデアやアセットをそこに投入し続けて行く必要があります。「己の最も得意とすることに集中せよ!」ですね。

たとえば、ここに引用したストーリーボードはウェアラブルな購買体験を描いたものですが、例えば今見えているビジュアルをリアルタイムに送受信しながらメッセージングを行えるとすれば、こういったソーシャルなショッピングが非常に快適かつ楽しくできると思います。

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でも、それはテレパシーの持つ物語こそが非常に重要であって、個別個別にショッピング体験を追求したとしても焦点の絞られてエクセレントな体験性を提供し続けることは困難です。それを自らの価値観や世界観として、チームが熱くコミットし続けて開発継続するからこ安定的に価値提供できる筈なのです。 

同じショッピングでも、ビジュアルにそれを体験共有しながら行える、それを通じてお互いの親密さが一層増していく。そういう価値軸をしっかりと製品価値に注ぎ込んでいく。

それがお客さんにしっかりと届けられるように最大限マーケティングする。それを伝えるためにパッケージや販売ルートでの提供の仕方など顧客設定においても最大限の工夫をお行う。そういった首尾一貫して自らの価値観を高める創意工夫をする繰り返し、連続的な行為の積み重ねこそが「得意に集中すること」だと思います。

そういう考え方で行くのであれば、細かい仕様の違いや性能の差異は余り問題ではなく(結果としての反映ではもちろんありますね)、むしろそういう枝葉末節に拘るよりもテレパシーが提供したいと強く願う世界観が本当に実現できているのか?提供ができているのか?伝達できているのか?それらこそを激しく問いかけるべきだと思っています。

 

技術的に見ればウェアラブルなカメラとワイアレスのコミュニケーションを組み合わせただけの存在が価値のあるソリューションやアプリケーションを身にまとって顧客に受け入れられるためには、生活をより豊かにするアイデアやビジョン、そしてその背景に横たわる大きな物語こそが欠かせません。

そして、それを血肉化し製品としてリアルに届けるためには、その製品価値をもたらす、たゆまぬ鍛錬が必要なことは言うまでも有りません。

ですが、それにしてもスタートアップが固有の物語を強く信じ、実現したいとリアルに願うことなくしては、それはカルチャーとしてもムーブメントとしても決して定着しないと思います。

大きな物語を起業家とそのチームが確信して、ひたむきに燃えて開発を継続すること。それこそが結果としては非常に優れた競争優位性を生むのではないか?と、僕は考えています。

スタートアップの本当の競争優位は「自らが大きな物語を信じる」ことからしか生まれないのではないか?仮説です。それが正しいかどうかは自らのチャレンジでしか証明できないでしょうが、それを本気で指し示したいと強く思っているのです。