IoTの生態系はガレージから生まれる。- Kickstarterでの成功事例に学ぶコミュニティづくり -

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（MicroView: Chip-sized Arduino）

LittleBitsは、その製品を単なるオブジェクトの販売に留めずにコミュニティづくり、つまりスケッチを共有したりお互いが教えあうようなカルチャーも同時に提案しています。

ラズベリーパイやAuduinoなども、それはやはり製品の機能や仕様ではなく、それを通じて色々なことを実現したい人達（主に開発者）のコミュニティが中心価値にあります。それを買う上で考えるのは、オブジェクトの性能とか機能以上に、そこで流通し共有されるノウハウ総量です。

スマホの次はスマホじゃないと感じる中心課題は、どうもそこにあると感じるのです。

要するにウェブやソーシャルの起こりに存在した、何もないところに何かを作ろうとする人々の巻き込みです。

ウェブもソーシャルも最初は何もなかった。ブラウザーやブログなどのプラットフォームは存在したのだけど、それ自体は空っぽのビークルに過ぎません。

そこで、コマースを始めたり、コンテンツを発表したり、コミュニケーションの場を作ったり、と様々な活動を勝手気ままに始めたのです。

スマートフォン或いはその延長系のみで考えると、デバイスの進化はメーカー任せでアプリやサービスの開発やビジネス化に活動が限られるイメージにどうしても囚われがちです。

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（MicroView: Chip-sized Arduino）

ところがIoTの世界ではそうでは有りません。

LittleBitsは入門編としては素晴らしいと思うのですが、たとえば LittleBitsとAudino ＋ネットワーク機能のセットを手に入れれば（全部で100ドルを切っています）、それだけで IoTデバイスを開発出来てしまいます。

そこで良い手応えがあればラズベリーパイによるもっと高度なデバイス開発や、あるいはAuduinoのカスタム化を始めても良いのです。

なにしろIoTの素晴らしいのは、そういったプロセスを通じてソフトやアプリの開発範囲に留まらない、日常的な経験や習慣性に突き刺さるような新しいデバイスと体験性の開発に進むことが出来る点です。

モバイルネットワークがパーソナル・コンピュータおよびそれを通じたインターネットの世界の次に大きな波としてやってきたのも、ここ数年の話です。

それが、もう次の時代に差し掛かっている。IoTの時代は明らかにそれまでとは違う力学で動いています。

それはどうやらメーカー及びそのメーカー提供のプラットフォームの範疇に留まらなくなってきているのを強く感じます。

そして、そのひとつの大きな兆しがキックスターターで続々成功を収めつつある、電子工作系デバイスメーカー及びそのコミュニティの動向です。

下はそういったムーブメントを感じられる素晴らしいプロジェクトの一例です。ここで重要なのは、その製品を売り込もうとするビジネス的な姿勢ではなく、その製品開発を通じて共に製品を楽しむコミュニティを育てていこうとするスタンスなのです。

ファンとしてのプライドをくすぐったり意見やフィードバックを取り入れようとする姿勢、あるいはコミットを高めることで（＝獲得金額の多さに応じて）さらに次のゴールを達成しようとする仲間意識の導入など工夫を凝らすことがクラウドファンディング＝プレオーダーではない面白さ、楽しみをもたらしています。

メイカーズの新しさは何なのか？それはしばらく議論の的でした。

で、この様にコミュニティ的な製品開発の可能性がそのコアだと考えた場合、完成品は永遠に仕上がらない。永遠のベータ版とも言える、そんな（まるでソフトウェア開発のような）状態を可能にすることが、クラウドファンディングの環境を通じて実現されています。

IoTの生態系は、そういったオープンエンドの自由闊達さに支えられたモノになるのでしょう。

従来型メイカーがノウハウや各種アセットを内部に取り込む形で成長してきたことの全く反対のスタイルと言えるかも知れません。

スマートフォンでは当たり前の毎年数回の新機種発表とか、はたまたアプリストアへのエントリーとか、そういう従来の規範や習慣ではなく、日々誰もがそれをいじり倒しながら改善改良のできる世界。IoT の生態系は、ガレージから生まれるのだと思います。

以心伝心記