enchantMOONの理想に共感する - 人はペンでいかにして情報に向き合うのか? -
enchantMOON 記事の続編です。前回触りの所まで書いてそのままにしていたのですが、実機を触って感じたことと自分なりに思った改良点(非常におこがましいですが...)を書いてみます。
先ず、enchatMOONは「夢を買う」マシーンなのだと強く思います。なにしろ生粋の(非常に流麗な)ペンインターフェイスOSが体験でき、さらに自らプログラミングまで出来てしまう訳です。個人的には、これはとんでもないことだと思います。
だって、ジョブズの創りだしたiPadの製品価値のある意味対極に位置する(しかし、アラン・ケイのダイナブックの理想からすると実に真っ当な進化系である)製品を日本人起業家がモノにしたわけですから!
僕らはその歴史的瞬間に立ち会えた。そして、それをモックアップとかプロトタイプではなく、リアルに具体的な製品として手に入れられる。
しかも、場合によってはその開発者に直接(日本語で)コミュニケーション出来てしまう。これは本当に素晴らしいことです。少なくとも、僕は蔦屋代官山で触った時にその感動を抑えられなかったです。
ですから、テレパシーワンという、グーグルグラスの唯一の対抗馬と言われるウェアラブルデバイスを開発中の身としては、enchantMOONから分けてもらえた勇気は半端ないものだったのでした。
日本のメーカー勢が大いに元気を無くしてしまっている今だからこそ、その過去のアセットを我々日本人起業家はフル活用可能です。ですから、今の日本のモノ作りシーンには大いに可能性を感じます。
ベンチャーがハードウェア開発を行う上で今の日本がどれだけ優れた土壌なのか?それを体感することが出来たことは確かです(enchantMOONが、どの程度日本的なモノ作りの恩恵を受けているのか?は、僕自身正直判りませんが、きっとそういう側面が有ると推察します)。
一方で僕なりに「もっとこうすれば良いのに!」と、岡目八目で思うことも僅かながらあります。例えば、
・製品名称をもっと簡潔で覚えやすいものに出来なかったのか?
僕なら、例えばSHADO(謎の円盤UFO)とかmonolith(2001年宇宙の旅))等、古典SFのキーワードを元に何か月的な魅力を名前に込めようとするかもしれません。
・ペンインターフェイスとタッチインターフェイスの混在
時々指による操作が混じってしまうことに違和感を感じることが有りました。
・プログラミングインターフェイスの分かりづらさ
構造的にブロックを組み合わせていくビジュアルプログラミングのインターフェイスは僕には余り馴染みませんでした。ただ、(僕にとっては、最高に馴染みやすい)ハイパーカードのユーザーインターフェースがenchatMOONにフィットしているのか?と言うと正直判りません。
色々思いつきを書きましたが、enchatMOONの理想像や野心への評価を減ずるものでは一切ありません。むしろ、この野心作から学べることやインスパイアされることの多さと豊かさは計り知れません。
昨今のメーカーズの潮流が単なるDIY運動に終わること無く、それこそ「世界を変えられる」製品づくりに起業家が向き合える時代の到来だと捉えるのであれば、enchantMOONの挑戦はまさにその王道だと言えます。ぜひ、皆さんにもenchatMOONをご体験いただきたく思います!