以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

enchantMOONとTelepathy One

週末、Amazonで買ったばかりの OLYMPUS E-PL3 のオフ会で蔦屋代官山に出かけた。実はそこでenchant moonの予約会があったというのも代官山に出かけた理由のひとつだった。

会場は整然としていながらも待ち行列いっぱいで、なんとかギリギリ最後のデモ回に間に合った。そこで待ち受けていたのは、僕の想定を完全に超えた素晴らしい未来志向のデバイスだった。

enchantMOONは、ある意味スティーブ・ジョブズの"呪縛"を断ち切る、最初のスマートデバイスかも知れないと感じた。何しろ、それは起動の段階からまるでゲームのインストラクションの様に流れるようなガイダンスがテンポよく始まる。

そして、その画面は全てがブラックアンドホワイト。「黒に白」なんて、ある意味非常にアナクロな世界が目の前で繰り広げられているのに、現実には2001年宇宙の旅に登場するかのような未来感バリバリのデバイスなのだ。

しかも、流麗なドローイングがどんどん認識されていくので、かつてApple Newtonが夢見たナレッジ・ナビゲーターの世界さえ予感させる「いつか観た未来」の様相を呈している。こいつはペンインターフェイスで、手書きをしっかり「認識」している。さらにこの手描きペン・インターフェイスはプログラミングのインターフェイスでもある。

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その場でオブジェクトをブロック遊び的に並び替えていくだけで簡単にビジュアルプログラミングが出来るなんて、誰もが想像していたコンピュータの未来像だったことが(まだまだ課題は多いけど)たどたどしくも稼働しているのだ。

キラキラ輝きながら描き出される滑らかな描線を眺めながら驚いた。自然なドローイングをできること。それらをコンピュータのなかに自然に記憶していけること。さらには、そこから簡単にビジュアル・プログラミングを試みれること。それをここまで簡潔な手順で、簡素なハードで、しかも限りなく買い求めやすい価格(予価 39,800円)で提供していることに僕は本当に感動を禁じえなかった。 

ペン・インターフェイスも手書き技術も、あるいはブラックアンドホワイトのモノクロームな画面デザインも、かつての未来コンピュータのイメージの延長線上にある物だ。これらを現代の僕らの世界に持ち込んだ時、こんなにも新鮮でワクワクするものに生まれ変わったことは正に衝撃だと言える。

しかも、それらはスティーブ・ジョブズのiOSでは拒絶された道筋とも言える。ジョブズがペンを捨て、マルチタッチを採用し、基本的にはソフトウェア・キーボードを主体とし、キャンディの様な滑らかな現実世界寄りのグラフィカル・インターフェイス(iOSのカラルで立体的なUIはデスクトップメタファーからは自然な流れだったが、最近は寧ろフラット・デザインのミニマリズムにむしろ回帰しつつある)を多用したことのまるで逆をenchantMOONは試みている。しかも、日本発の一ソフトウェアベンチャーが!

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僕が頓智を辞めて物凄く落ち込んでいた時、清水さんはすぐ声をかけてくれて六本木のワインバーで飲み交わした。その時、お互いenchantMOONとTelepathy Oneの夢を語り合ったのは、それこそ昨年の12月だったか?その時、僕の夢に清水さんが即座に協力したい!とアツく申し出てくれたことを僕は困惑しながらとてもとても有り難く思った。

でも、同時に清水さんのenchantMOONがその時の話を聞く限りでも本当に凄いと思ったので、Telepathyやってる場合じゃないでしょう!と思ったのも事実。考えてみれば、あれこそがenchantMOONとTelepathy Oneとの運命的な出会ったのかも知れない。

そして、今眼の前にあるenchantMOONはそれこそ泣けてくるくらいの「未来」なのだ。コンピュータの理想形を体現しようと前に進む夢溢れる機械なのだ。ジョブズの呪縛を物ともしない恐るべき野心作なのだ。

...と、いう所でそろそろオフィスに戻らないといけないのでenchantMOONについて書きたいことの残り部分は、このあと改めて書きます。あと、それと合わせてenchantMOONを観てから改めて考えたTelepathyのことも少しだけ書き足します。じゃ、また後ほど!

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