以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

ロケーションソーシャルのブレークスルーを起こそう!

 

ロケーション系のサービスについて。この分野で大きく成功したソーシャルサービスは現状ではFoursquare以外には未だありません。

様々なスタートアップが世界的な規模で激しくせめぎあっている分野ですが、対象規模の大きさ(地球は広いですね!)、利用環境の未整備(バッテリーの持ち、センサーの精度、通信環境)など多くの課題が待ち構えています。

ただ、むしろ、だからこそこの分野でのブレークスルーを遂げられるスタートアップが待望されています。そこで、自分なりの気付きとかアイデアを共有したく思います。年末年始も起業家達は新しいアイデアの構想と実現を決して休まないでしょう、何かのヒントになると幸いです!

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1)解決する課題は何だろうか?

現実の空間でこそ役立つ機能は幾らでも思いつきます。ただ、それが誰のどういった課題を解決するのか?が明確じゃないサービスはなかなか受け入れられない上に継続性が見込めません。解決法は、その対となっている課題難題とセットでこそ活きます。そういった意味では通勤中でも散歩中でも不便に思った事をとにかくメモっておくなど良いアプローチです。契約書へのサインをする羽ペンの不便さが万年筆発明の契機だったエピソードなど有名なストーリーです。BUMPは連絡先のやり取りの余りの面倒臭さが、その発明のキッカケでした。確かにその課題はいずこでも存在しますし、解決することで得られるメリットは大きいです。

2)どの程度の頻度で起こるのだろうか?

そして、課題と解決法が見出せたとして、ではどの程度の頻度でそれが起こるのか?の洞察も同時に欠かせません。大きな課題を解決する素敵な解決法があったとしても発生頻度が余りに過小だとソーシャルアプリとしてのスケールが見込み辛くなります。

たとえば年末年始の飲み会や挨拶回りなど、ありがちな行動を違う視点で見直してみるのは面白いと思います。何気なく繰り返されている行動にヒントが含まれています。僕がdomoを開発した時にイメージしたのはちょっとした「挨拶する習慣」です。ツイッターなどでよくあるちょっとした電子的な声かけを、リアルの場でも可能にするとどういうことが起こるのだろうと考えました。

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3)机上で考えない

アプリケーションの企画検討は、どうしてもオフィスの快適な環境で机に向かって考えたり話し合ったりします。でも、実際の利用シーンは全くそうではありません。

むしろ電波が届き辛い移動中の不便な環境で、時間に追われながら電源を気にしつつ、苦労しながら利用する環境こそがリアル体験です。オフィスでの思考に詰まったら、どんどん街に出て行動的に考えるべきだと思います。思考は行動で活性化します。アイデアは活動を通じてこそ刺激されます。セカイカメラ開発時には、常にセカイカメラのアクリル模型(別名スケスケ携帯)を持ち歩いてあちこちでかざしまくっていました。ある種のロールプレイですが、こういう感覚は部屋の中ではなかなか分かりません。

4)アプリだけで解決しない

アプリケーション開発者はアプリ単体の中でのあらゆる解決を意図しがちです。どうしても、ウェブアプリ的な総花的解決を期待しがちです。でも、実際にアプリが使われる場には人が介在しますし、人同士のコミュニケーションや動作振る舞いがあります。

ですから、アプリ自体が人の行動や思考を支援する介添え役としての位置付けで考える有効性(多くを引き受けすぎない)は有ると思います。すべてを引き受けないことで、引き算的に考えることを試してみてはどうでしょうか?僕が達見だと思うのはジャックドーシーのこのコメントです。

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"Squareで気に入っていることの一つが企業の立ち上げを手助けできることだと彼は強調した。「どの小売業者から見ても、すぐに商売を始められることは驚きだ。消費者と小売業者の境界線、即ちカウンターが見えなくなってくる。Appleに行くとわかるが、客は列に並ばないしレジの前で待たない。カウンターがないのだ。こうして摩擦が除去される」"

ここでは、コマースの全てを引き受けると言うよりは対面的な支払い行為にフォーカスして解決しようと言う、ある種の割り切りがあります。

5)人間社会に目を凝らす

モバイルアプリは社会的な行動特性や行動様式に強く結びついた存在です。たとえば人の出会いや交流交感をサポートするアプリだったとして、そこには人の存在だけでなく、人と人の関係性が強く働いています。そう考えると人間関係の観察から得られる物は非常に多いと考えるべきです。日常の不条理やトラブルなど、そういった面では大きな学びの機会になります。

仕事の最中困ったたこと。旅先で困惑した体験。そういったことに目を凝らす事の収穫は実に大きいのです。人間観察が仕事の役に立つのは恐らく業界や国境を越えて真実なのだと思うのですが、ソーシャルとロケーションとモバイルの組み合わせに於いては非常に大きな可能性を秘めています。

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今、最も期待しているのはSimple(従来BankSimpleと名乗っていたスタートアップです)です。銀行を巡るむかつくあれこれを解決しようとするこのアイデアは銀行の有り様への洞察を抜きにしてはあり得ないでしょう。普段諦めている社会的構成要素(銀行以外にも非効率なセクターは多数ありますね)を見直してみるのは、ちょっとした好奇心、探究心さえあれば可能な筈です。

BankSimpleが‘Simple’と改名して今日から一般ユーザを受け入れ

http://jp.techcrunch.com/archives/20111108banksimple-is-now-just-simple-and-its-accepting-its-first-users/