以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

ロボットに大切なのは沈黙することなのかもしれない。

ここしばらく渋谷のファブカフェ内で接客中のペッパー君と触れ合う機会があったので、いろいろコミュニケーションロボットに関しての知見が吸収出来ました。

また、既に発表済みの(製品発売はまだですが...)JIBO やMUSIO なども続報があり、だいぶんファミリーロボット開発の実情が見えてきました。


まず強く感じたことですが、今あるセンサー群と人工知能の組み合わせでは、ロボットとの自然な会話を継続するのはあまり楽しくない...です。そもそも、人は会話そのものではなく、無会話(沈黙)も含めた全体的な人間的触れ合いを好みます。そもそもSIriのような一問一答方式、質問応答形式の対話には限界があると感じました。それだけでは人間的な対話にならない。

例えば、目配せ、身振り、さりげない身動き、など様々な刺激反射系や感情的な動作を含めた人の振る舞いを人的コミュニケーションのパーツと考えるべきだと思います。

 

そういったなかで、制約された機械的所作によるロボットに対し日常のサポートやコミュニケーションを期待するとすれば相当のストレスや不満足があることがリアルに想定できます。

ですから、コミュニケーションロボットにとっては、そもそも「そこにいる」こと自体の「満足」や「充足、楽しさ、優しさ、暖かい感じ」を表現し、伝えることが大切だと思うのです。
人の挙動は複雑系です。単純な刺激反射だけではすぐに飽きてしまいます。そこがロボットと、主にスクリーンとタッチやマウスという制約されたインターフェースに人との接触面が限られているパソコンやタブレットスマートフォンとの違いだと思います。


恐らく、ロボットと人との長期継続的な関係性の構築が欠かせないのです。

日常的な何気ない繰り返しの中にこそコミュニケーション・ロボットは入っていくべきでしょう。それには単発的なサプライズ、特殊効果だけでは足りず、もっと静けさや深さまで含めた、豊かな刺激反射の開発と発展が要るのだろうと感じます。そしてそれはとてもさりげないものです。さりげないものの抽出と一般化と実装は簡単ではありません。


ベイビーの開発においてはベイビー開発者コミュニティ含めたロボットとの共存共栄、社会的存在としての位置づけや取り扱い、全体的な開発環境としての盛り上がり、またはそれが人と共にいることの楽しみを共有できる世界観構築と提案が大きな波及効果をもたらすと考えています。そして、そのコアには本当にさり気ない日常的な人間的所作が含まれると思います。Baby SDK2の開発、鋭意継続中です。

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