以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

失敗オープンソース

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たまには没になった製品案など。

頓智社の時代にサンフランシスコ滞在しながら(まだ、UberInstagram がドスタートアップだった時代です)開発していたdomoですが、商標などの問題があってあえなく打ち切りになりました。が、その後継製品として企画試作していたのがPnPという名前のアプリでした。

サイズの小さい写真を最高の速度で撮影し(ハックすれば撮影行為って高速化できるのです)それをGameKitのワイファイ&ブルートゥースによるPtoP通信で高速共有しようという「写真の瞬間的共有で究極のソーシャル・シェアリングを行う=その時の気分やその場のムードを即時にシェアできるアプリ」をやってみようというアイデアでした。

その後諸般の事情で頓挫するのですが、いまだにフェイスブックページが生き残っていて案外アクセスもあるんですよね。なんとなく過去のアーカイブを整理していると当時の企画書が見つかったので、実に稚拙ではありますが、恥を忍んで共有しますね。

 

試作までこぎつけてユーザーテストを継続していたのですが、もっともっと追い込むことが出来たなあ!と、いう後悔が未だにあったりします。そういう意味では、盲目的な猪突猛進が不足していたのかも知れません。大げさに言えば、写真撮影と共有を再発明したかった!けど、それを完遂する突破力がまったく足りなかったと反省しています。

 

表題:Public Image Limited "公共的視野共有社" 我々は世界の目になる。
July 22, 2011 at 8:15pm

ビジョン:パブリックイメージ社/世界中の人々が目になる。世界中の人々が目を共有する。

ミッション:世界を可視化する。現実を切り取り、共有し"アクティブに可視化する"のが我々のミッションです。

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事業展開:現実空間の可視化を通じた o2o ビジネス。よりリアルタイムにリアルワールドの商流を創出し、発展させる。
競争戦略:ムードや気分を"イメージを通じて"シェアするフロントエンドに立ち続ける/使い勝手が良いこと/快適な体験性があること/継続的なブランド浸透

初期人員:サーバーエンジニア1名/アプリエンジニア1名 製品デザインとプロデュースおよびマーケティングは井口が担当する(最初は三名で良い)
展開スケジュール:初期プロトタイピング/ベータステージ(ここまでで半年ほど)/製品リリース/アップデート/ビジネスソリューションの導入ステージ(ここまでで2年)

必要な金額(2年分):3,800万円
初期プロトタイピングからベータステージまで:200万円
それ以降:200万円×1年6ヶ月=3,600万円(ビジネスソリューション導入の手前/到達目標のインジケータをどうするか?DLが基本指標等)
インジケーター(仮説段階):初期ローンチから3ヶ月以内に10万DL突破が、一定の成功目安?最初のリリースから1年間で100万DL程度があれば商用化に向けたディール/サービスの企画・開発が現実味を帯びる。トータル2年を目処
競合対象TwitterFacebookInstagram、Path、Daily Booth、Picassa(ツイッターフェイスブックは利用をすべき下層レイヤー/自社サービスならではの利用レイヤーを取るべき=クィックシェア/ムードシェア)
各プレイヤーの現状ステイタス/強み・弱み/トレンドの推移/市場変化とそれに応じた機会の発見/スマートフォンとソーシャル共有のその先を捉える(大枠の進展・浸透/差別化シナリオ案が必要)
直近のタスクドメイン取得/ウェブページ制作/会社登記/プログラマー・アカウントの取得/事業プランの策定

最初のアプリ:ピークンポーク Peek 'n' Poke sounds like Rock'n Roll in Digital Age.

PeekPoke Snap Picture and Share Quick, Imaging Reality App for iPhone
写真の瞬間共有ツイッター/現実をコンテキスト化するための視覚イメージ入力ツール
画像サイズ: 120四方/240四方/360四方(240pix 標準品質で約16KB程度)
撮影毎にiPhoneのアプリ内にウォールが出来て、そこに写真のタイムラインが生成される/FB&TWへは適宜uploadが出来る。
現実世界でのトレンディングが可視化される/リアルな空間でのインタレストや行動が可視化される、 シェア出来る様になる。
瞬間的にその場その時のムードやイメージをスキャンしてシェア出来る、高速写真共有アプリ/どのタイミングでシェアをするのか?シェア方法は?など、より具体的に決定する必要あり。

Public Image Limited Vision
Public Image limited Global × Image × Share 世界中の誰もがその時の気分を、イメージを通じて、ダイナミックに、共有することができます。つまり"視覚を通じてスケスケ社会を創造発展する"事がパブリックイメージリミテッドの使命です。
現実世界を切り取って、多くの人たちがその場その時のフィーリングをリアルタイムにイメージ共有出来る世界を創ろう!
e.x. "Google+ プロジェクトは、現実の世界と同じような情報の共有をウェブ上で実現します。"

Peek 'n' Poke sounds like Rock'n Roll in Digital Age. 情報のサイズを小さくする事で流通量を増やす。タグを付与する事で機械的なシェアを可能にする。PtoPの実空間写真共有を企画検討する。GameKitでの試作。


Peek機能:イメージを覗く(ミニマムサイズの写真を閲覧する/ PEEK SET)
Poke機能:イメージを書き込む(ミニマムサイズの写真を投稿する/ POKE SET)
重要ポイント:書き込みの速さ/読み込みの速さ/ローカル保存を必要に応じてウェブでシェアする機能/フォトシェアはフェイスブックツイッターを介して(サーバー・サイドのスケーリング/稼働安定性などは現状未知数)
基本機能:撮影/保存/投稿/検索/閲覧/撮影データの個人によるクイックな保存と確認/撮影データのメタ情報に基づいたクイックなサーチと閲覧/ハッシュ&ユーザーID&タイムスタンプ(&Location&Like/Twtte&Comment)
利用ケース:どういうイメージをどういうタイミングでどういう意図で保存(共有)し、どういうイメージをどういうタイミングでどういう意図でサーチ(ブラウズ)したくなるのか?ソーシャルユースケースとしての利用場面(シナリオ)

 

以上、実に荒削りではありますが今読んでも案外イメージややるべきことは明確だったのだなあ!と。

ちなみに最終的に没になったとはいえ試作はすばらしく、撮影プロセスが超高速なだけでなく無手順でその場で写真がシェアできるのは楽しかったです(近くの人のiPhoneの写真がいくらでも共有できるという野蛮な仕様。考えてみれば保存できないとか、時限で消滅するなどのアイデアに到達していればもっと面白くなったでしょう)。

 

その後インスタグラムも大ヒットして、スナップチャットでイメージを主軸にしたコミュニケーションやシェアはものすごく大きなポテンシャルが有ったことが実証されたのですが、ソーシャルゲーム主流の投資トレンドだった当時、このアイデアはまったく受けずに苦労しました。

ただ、なにかインスピレーションを受けて確信し実現しようと思ったことは、その価値のコアを諦めずにひたすら試行錯誤を続けて現状突破しなくてはならないな!と、言うことです。それは今進めているクラウドベイビーでもそうですし、どんな新規性のあるアイデアでも同じじゃないか?と思います。

勇気を持って純粋な思いを叶えることでしか新しいものは生み出せません。それを信じて限界を超えられるのは、まさにスタートアップの本当の醍醐味です。

 

あ!あと、製品名はセックスピストルズジョン・ライドンが結成したPublicImageLtd.から来てます。っていうか、そのまんまです!

 

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