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以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

新しい仕事の困難さと容易さ。New work should be more difficulty friendly.

辺境の強さ。

かつて 2008-2011 辺りの時代、AR(拡張現実)で大活躍したのは主にシリコンバレー・エリア以外のスタートアップでした。が、結果としては(SNSやO2Oなどに比べると)本格的に市場形成されませんでした。ある意味、実験研究の段階からマス・マーケット市場への進出を遂げるべきタイミングに十分キャズムを超えられなかったと言えます。そこには「辺境の力」の持つ素晴らしさと限界の双方が見て取れるのではないか?と思うのです。

日本や韓国、あるいはフランスやドイツの拡張現実系のスタートアップが、いわゆるWeb技術の限界を超えた新しいテクノロジーの波を起こしたのは(現実の世界にコンテンツを配置するなんて夢がありますよね!)事実だったのです。それはまさに「辺境の地」からの大きなムーブメントでした。

でも、その一方でニュースの発信能力としてもベンチャー資金の供給力としても、シリコンバレー以外のプレイヤーでは、どうしても見劣りがしてしまいます。つまり、それらのニューテクノロジーを拡張拡散していく上でのロジスティクスがどうしても弱い。それはすなわち「辺境の弱さ」でもありました。

総じてシリコンバレーと対シリコンバレー(多くの地域がシリコンバレーになることを望んでいます)で語られる多くのトピックが、ある意味「多様性を受け入れて、それをグローバルに展開する許容力」にまつわるストーリーです。AR=拡張現実のテクノロジーおよびそれを携えたスタートアップが、「辺境の強さ」をどうしても生かしきれなかったことを翻ってみる際、その「辺境の弱さ」をシリコンバレーの持つ力を用いることで反転できなかったのか?という思考実験も可能です。

僕自身がテレパシーではシリコンバレーのコア地域で創業しよう!と思った経緯には、以上のような反省と反転の思いが込められています。

 

新しい仕事の困難さと容易さ。

アップルが初めてiPodで音楽プレイヤーを手がけた時(誰もが耳を疑った)、あるいはアップルが携帯電話をやるらしいと噂された頃(iPhoneという名称も予測されていました)、或いはアップルが小売店舗を始めると知った当時(AppleStore開始は青天の霹靂でした)、つまり現在最強とも言えるアップル社の素晴らしい(神がかったとも言える)躍進を支えた多くの試みは、当時は余りに突拍子もなく、周囲からは成功を疑問視されていました。ですが、それは同時に、「新しく始める仕事」の本質的困難および容易さを同時に物語っていると思うのです。

つまり、ポール・グラハム的には「最高のアイデアは、最初はダメなアイデアに見える」。つまり、これはダメだろう!と思って顧みられない様なアイデアやコンセプトが潜在的には大きな可能性を秘めているという訳です。テスラの開発しているEVもそうですし、もしかすると創業当初のSquareもそうだったかもしれません。

電気自動車は誰もが成功するとは思っていませんでしたし、PayPalがあるのになぜわざわざ支払いのためドングルをiPhoneに装着するのか?多くの人間が疑問視し、成功を疑っていた訳です。それはiPodでもiPhoneでも、当時は全く同じかそれ以上にスケプティカルだったのでした。

その一方、スティーブ・ジョブズイーロン・マスクもジャック・ドーシーも口を揃えて「成功が見えていた」と言います。つまり、当時の音楽プレイヤーとスマートフォンには問題がありすぎました。あるいは、支払いインターフェイス電気自動車も決定的に行き詰っていました。だからこそ画期的な発明をより少ない研究開発費や宣伝広告費の支えによって世界的発明にすることができたのです。

でも、それはそうでしょう、成功が確実される大きな規模の新製品発明は、当然既に大きな成功を収め、そこに大きな投資を行うことができ、大きな影響力を駆使することのできる大企業こそが先に手掛けます。そして、その場合の確度はとても高い訳です。

 

自明でないことは容易ではない。

一方、誰もが疑問視する。が、同時にごく一部の優れた創業者にとっては成功が自明なSomething newは、そのスタートアップでしか手掛けれらません。

「私はずっと以前から、電力が安定したエネルギーになると確信していました」これはイーロン・マスクの言葉ですが、それはつまり地球規模のエネルギー問題への解決策の一つとして彼がEVを手がけていることを物語っています。こういうビッグ・ビジョンと本物のテクノロジーを巧く世界的なマーケットに載せられる集中したマネージメントはテスラの強みです。

ですが、それは大手自動車メーカーの不得意とする所です。ですから新しい仕事の困難さと容易さを考える時、以下の様なことを思い浮かべます。

つまり「とても困難に見える」ことが、一方、優れた起業家にとっては「とても容易に実現できることに見える」。

つまり、この場合の容易さ困難さは技術的課題というよりは、むしろ社会的に抱えている問題と、それへの解法を他の既存プレイヤーよりずっと卓越した方法で届けられるかどうか?もし、それへの集中した取り組みが有れば、むしろ「困難と思われる仕事」のほうが大きな可能性が有るわけです。困難と思われている仕事を、もし(可能であれば、あなただけが)容易と思えることがあれば、それはまさにSomething newであり、Next big thingなのです。

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