以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

シリコンバレーのソフトバンク、ソニー、そしてテレパシー ... 新しい風はいつも辺境から巻き起こる。

最近話題沸騰のソフトバンク・シリコンバレーオフィス。これは ROAD 101 沿いの凄く良い場所にある。孫さん自身がこっちに住むという決断も含めて、この拠点は非常に良い印象を与えられるだろう。

シリコンバレーからハードメーカーがどんどん拠点縮小しているのに反して、ソフトバンクの北米進出は今後、非常に大きなトレンドを創れるかもしれない。

端的に言うとアジアからアメリカへの新しいムーブメントだ。スマートデバイスの製品市場で今やアジアの力は否定すべくもない。

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伊佐山さん(元DCM、現 WiL 共同創業者CEO)とパロアルトのカフェでお話しながら、日本の Venture Business が大きく飛躍を遂げるチャンスを向かえている兆しを感じた。日本のモノづくりの力やコンテンツ力が、ここに来て北米市場で成長発展できる潮目を迎えているのかも知れない。

特に目立つ例を挙げるなら、ひとつはLINEの北米に於けるサービス展開であり(LINEは北米市場で大きな成功を収められる気がする)、スマートデバイスの主要部品マーケットに於ける日本製製品の顕著とも言える健闘だ。

LINEのようなメッセージングはウェアラブルコンピュータのキラーアイテムになる可能性がある。そして、スマートデバイスでの超小型部品製品開発はウェアラブルコンピュータのコアに突き刺さる技術領域だ。

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この界隈(South Bay)はそもそもシリコンバレー発祥の地なのだけど、その後どんどん勢力図が塗り替わりハード退潮の時代を向かえる。でも、今は寧ろ、ハード復活の先端的エリアになるのではないか?と思っている。

ソフトバンクの進出はそれとは直接関係ないかもしれない。ただ、スプリントを取得してモバイルの先端を切り開くべき立場になった彼らが新しいデバイス技術やモバイル・ソフトウェアなどへの投資を進めるのであれば関係は大いにあるだろう。

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この地で、我々のテレパシー・ワンは着々と仕上がってきている。特にデザインとソフトのbreak through が遠からず出来るのではないか?と手応えをひしひし感じている。

多くのウェアラブルコンピュータが今は未だ研究的試作品の範疇で、多くの場合は技術見本の域にとどまっている。

そういったなかで、ユーザー体験性の満足や新たな製品価値(固有のユース・ケースの発見!)の訴求、日々の生活スタイルに及ぼすであろう鮮やかな新奇性を提示できるのか?2013-2014はウェアラブルコンピュータにとっての大きな節目になるだろう。

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そもそもスマートフォンがこれだけ普及し、通信インフラも3Gから4Gの時代へと本格的に移行する中で、日本の技術が本格的に再度大きな価値をもたらすチャンスが有る。

当たり前だが、最高度に輝くデザインとソフトウェアの進化には、精緻で、かつ効率的なハードウェアやパーツの開発が欠かせないのだ。

そして、スマートデバイスウェアラブルデバイスになる際にあらゆる製品のサイズ・オーダーが変わる。必要とされる機能や仕様も変わる。

バッテリー技術は既に飛躍的な進化を期待されているが、超小型の光学部品やディスプレイ、あるいはアプリケーション・コントローラー・チップも極めて大きな変化を求められている。それらは新しい情報革命の突端で起こっている変革の兆しだ。

ウェアラブルコンピュータの同行に関して言えば、ここでのコンセンサスは、もはや「何が?ではなく、いつ?」なのだ。であれば、スマートデバイス以上の成長領域を制すれば、今までの敗北と退潮は帳消しになる可能性がある。

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スタンフォードショッピングセンターの目抜き通り。ここに新たに出来たアップルストアはトムクックがiPhone新作発表時に来訪して話題になった大型店。そして、直ぐ隣接した場所にソニーの大型店も有る。でも、残念ながらその好立地に反して製品は退屈だ。

特に黒つや消しや銀色のデジタルカメラおよびビデオカメラはいかにも陳腐で時代遅れに見える。バイオノートの紫やピンクのメタリック塗装に至っては嫌悪を催すほどの時代錯誤と感じる。

一方、悪評も多いが新しさもあるApple iPhne 5cのカジュアルな色合いは新鮮な提案であり、2013年ならではのムード醸造は少なくとも出来ている。とかく散々批判されても、一石を投じていることだけは確かだ。それと比べるなら、スタンフォードショッピングセンターでのソニーの現状は酷く物足りない。

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でも、その一方で新しいソニーの復調が有るなら、それは日本の家電産業の復活そのものだろう。

また、それを支えられる技術も文化も影響力もソニーは十分に持っていると思う。特に小型で性能の高い製品の開発力はいまでも超一流であり、それはiPhone搭載のカメラを含め、光学製品やディスプレイ(OLEDの技術は素晴らしい)などでも大いに知られている。

ソニーの復活にはウェアラブルデバイスの飛躍的進化が一役買うかもしれないし、もしそれが起こるなら、本当に、心から、それが待ち遠しい。

f:id:roadracer:20131013154429j:plain ここに書き散らしたことは、個々には単なる日々感じたり触れたりすることの断片に過ぎない。けど、PCやSmart Phoneでいい加減極限まで進化したと思われた情報革命の動きが、まだまだ中途に過ぎず、まだまだ大きな変革のポテンシャルを有していることは実に愉快だ。

日本人はもっと大きな夢を描けるだろう。世界は、その本領発揮を待っている。

 

追記:

先週採用予定の実に優秀なエンジニアとウェアラブル・コンピュータ向け汎用プラットフォームの話を楽しみながら寿司豊味(@マウンテンビュー)の美味しい寿司を楽しんでいた。ここではグーグルグラスを装着していても変に怪しまれることはない。未来はもう、ここにある。

日々新規採用の面接をしているのだけど、ウェアラブルコンピュータの使い方、売り方に関してのアイデアの広がりは無限大だと思う。逆に言えば、むしろ何をやらないのか?の判断のほうが貴重だ。

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全方位に総てをやることはいかなる大企業でも不可能だ。人の目の前にウィンドウが有る。移動し、食事し、買い物する。学び、遊び、暇をつぶす。基本的に生活の流れを突然に止めることは出来ない。無駄な操作は命取りだ。

自然に違和感なく、日常の一部に溶けこむような体験を、とってもシンプルに実現する。それが既にあるスマートフォンの体験を乗り越えてる軽快性、快適性で提供されてなければ継続的な利用は決してあり得ない。

スマートフォンで代替が難しい日常的ルーティンしか生き残れない。普段使いの繰り返しからこそ新しい発明が生まれる。人はレイジーだ。ストレスを避けたい。余計なことはしたくない。出来るだけ楽をしたい。

気持ちの流れを断ち切らず、出来るだけ自然に行為したい。極めて洗練されたデザインに極めて省力化された操作体系。極めて優れたデザインとアプリの融合は、たゆまぬ体験性の鍛錬の中にこそ存在するだろう。

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最近はとても嬉しいことに、この辺りの町中でも普通にテレパシーの人ってことで声を掛けられる機会が増えた。本当かどうかメディアの人からもよく耳にしますと言われる(こともよくある)。

SXSW 2013(今年3月)当時は誰も知らなかったのに、既に多くの人達がテレパシーのことを気にしてくれている。たまに激励のお言葉など頂けると、本当に嬉しい。

テレパシーUSも人が充実してきて、サニーベールの本拠にも人が働いている躍動感が徐々に出てきた。製品に徐々にリアリティが増してきている。亀の歩みだけど、少しでも前進していれば手応えが出てくる。

特にここにいると、それは絵空事ではなく、世界を変えられるかも知れないデバイスとして輝きを増していく。東京にもこの息吹を伝えられないものか?いつでもワクワクが止まらない。