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以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

グラスと眼鏡とブルーボトルコーヒー.... 日本の匠はウェアラブルコンピュータ開発にとても向いている側面がある。

日々グラスを装着して生活している。そこで強く感じること。人はPCあるいはスマホの体験や操作方法をウェアするのかだろうか?あるいは日常的な体験や行為をウェアするのだろうか?ここマウンテンビューでは、多くの場合PCやスマホの操作をウェアしようとしている様に見える。

何をウェアするのか?その考え方次第で、コアアプリは大きく異る。だが、もしその移し替えのマッピングがスマホからのもので済むのであれば、つまりスマホで済ましたほうがほぼ良い場合はウェアする負担負荷(外観の異質性、視界・視線が遮られること、表情が完全に伝えられないこと、支える重さ、発生する熱、付け外しの面倒さなど)を超えられない。

純粋なサーチは屋外、あるいは移動中には案外やらない。スマホでも、純粋な検索って意外とやらないんじゃないか?で、ナビゲーションについてもスマホが便利なのに慣れきっている。じゃあ何なのか?何をウェアするのか?その追求と検証こそ限りなく面白い。ウェアラブルコンピュータのブレークスルーは絶対にあると確信する。

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スティーブ・ジョブズは長いこと詐欺師扱いだったし、2007年にiPhone初代を発表した時点、それこそノキアとブラックベリーは圧倒的王者だった。

そういう意味ではマイクロソフトもドコモも当時は、同じくキング・オブ・キングだった。また、当初のジョブズのコミットメントは、今から考えると極めて控えめなものだった(スマートフォン市場の最大手になるっていう程度の話だった)。

が、それが今やスマートデバイス市場に於けるリーダーカンパニーであり、それは(=世界市場で数億台の出荷)は、デジタルデバイスの世界革命にほかならない。その様相を2007年に想像出来た人間はごくごく少数しか居ない。

ノキアマイクロソフトのCEOが初代iPhoneを罵った言葉は記憶に新しいし、ドコモのトップがiPhoneをディスったことは一度や二度のことではない(それが今ではiPhoneの取り扱いの数量さえままならない状況だ)。

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あらゆるジオグラフィカルな勢力図とバランス・オブ・パワー、主たるデジタルな利用スタイル、情報流通及びソフトウェアの生態系全ては一新され、スマートデバイスは人の生活の多くを書き換えてしまった。

が、ノキアとブラックベリーはその間何も変えられなかったし、マイクロソフトもドコモも何も本質的には変革できないことに焦燥しきっているようにみえる。変革は思いもかけないところから起こるが、その兆候はあちこちに有る。ウェアラブルコンピュータはその一端だ。BringするものがWearされる。そこには大きな変革の可能性がある。

日本はこの手の変化の恩恵には余りあずかれていないし、表面的にはますますリーダー的役割を手放しているようにみえる。

ところが、より根底部分で日本の技術的な豊かさ、先端性は改めて大きな力を得つつ有ると感じている。テレパシーワンの開発をやっていて日本でしか実現できない事柄が実は多く存在することに気づく(鯖江の眼鏡製造技術などはその一部だ!ディスプレイを安全かつ安定にウェアする際、鯖江の百年の歴史は大いに威力を発揮するだろう)。

モノづくりは人の問題以外にそれを支える教育、労働環境や設置設備やその開発など、非常に多くの構成要素で成り立っているから、相変わらず強味を有している領域は多い。

素材の理解、加工ノウハウの蓄積、デバイス小型化のための多くの知的財産。時と場合によってはそういうアセットが邪魔してイノベーションできないことは歴史の事実だ。では、それらがあることがイコール衰退を必然とするだろうか?応えは否だろう。

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ただ、日本の(一部大いに成功している部品産業などの)テクノロジーも多くの場合、見た目の比較的派手なIT以外の部分に多く存在している。

たとえば加工面で観た場合、アルミダイカストの製造加工が迅速巧妙にできる事でコンパクトで流麗なデバイスのボディが開発可能になる。こういった側面が本当はすごく多く存在するのだろう。

でも、非常に残念な事ながら日本国内にいるとそういった技術やノウハウの発見はノスタルジックで後ろ向きなものの様に見えてしまう。メディアもそういう扱いを好んでやるために、日本のモノづくり≒過去の遺物という見方をされがちだ。

が、世界市場での役割分担(比較優位に依る世界的水平分業)、個々の国における固有の強味の発揮を考えるなら、それは俄然輝きを増す。

恐らくはスマートデバイスの最終製品がもたらす独自の輝きの多くに、日本ならではの技術が貢献していることは余りにも知られていない。iPhoneiPadにしたって、多くの部分で日本のモノづくりが貢献している。

 

無理やり例えるなら、サンフランシスコの最先端カフェ Blue Bottle Coffee が好んで日本製品を採用しているケースなどどこか似ているのだろうけど、そういった場合も比較的派手に見えるカフェの成功ストーリーは分かりやすい反面、それらのコーヒー関連部品の匠の技は相当後になってウラ話のように伝わるに過ぎない。

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http://sfbitebite.com/blue-bottle-cafe/ より

僕らは多くの面で発揮されるべき日本のユニークな強味を見落としている。

それはごくごく目の前に陳腐で平凡な存在として横たわっている。ウェアラブルコンピュータは非常にコンパクトで精緻な製品づくりと部品の使用を必要としている。

素材や加工もむしろ時計とか貴金属商品の様なナイーブさを持っている。日本の凄さが改めて再認識され発揮される実に素晴らしい機会ではないだろうか?

そういうことをシリコンバレーのど真ん中で(グラスを体験しながら)感じる。故郷は遠きにありて想うものなのかも知れない。

 

補足:ブルーボトルコーヒーと日本の匠

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http://sfbitebite.com/blue-bottle-cafe/ より

ハリオHario)製サイフォンメーカーとUCC製光サイフォン

日本メーカーのタッグによるサイフォンバー。アメリカにサイフォンバーと光サイフォンを導入したのはブルーボトルコーヒーが初なのだそうです。

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オージ(OJI)製ウォータードリッパー

水出しコーヒーを淹れる機器。目の前で見ると結構大きく迫力がある。このインテリアとしても綺麗で繊細な機器を使い、”Kyoto Style Iced Coffee” という香り高いアイスコーヒーを抽出している。このオージという会社は墨田区の会社で、”世界で見つけたMade In Japan” というタイトルで、ブルーボトルコーヒーとオージのウォータードリッパーの出会いのストーリーがテレビで紹介されたようです。

http://sfbitebite.com/blue-bottle-cafe/ より

 

追記:

シリコンバレーの寿司豊味でロシア人開発者(彼は最初のキンドルの開発者)と馬鹿話をしていたときに最高に盛り上がったのが高級オーディオのナカミチの話!お前判ってるなあ!って凄く痺れたんだけど、まさかマウンテンビューの寿司屋の片隅でナカミチ談義になるとは!

確かに高級オーディオの匠の技で言うと、日本の老舗メーカーのもっていたオーラは半端なかったのだ。個人的にはLUXMANの話もしたかったのだけど、キリがなかったので触れなかった。

で、改めて調べてみたら2009年当時B&OBOSEと並んだ人気ブランドだったらしい。全くアツいなあ。アナログオーディオの未来は決して明るくはないけど、あれだけの凄い技術とブランドを持って反映したことは誇りに思うべきではないか?

それこそB&OJBLAKG、SUREなどの高級オーディオは今やアップルストアでは売れ筋のクールアイテムだし、その製品品質は非常に高いだけでなくブランドとしても一流だ。そういった戦略を取れるだけの強味や底力が無かったとは思わない。

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