以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

革新的製品の商品開発 ..それを強く欲する人に全力で尽くす.. 買わない人は顧客ではない。

... 多くの人々が条件反射で犯してしまう過ちは、製品を買わない人々の不服に答えてしまうことだ。製品の改良はあくまでも購入者のためで、買わない人間のためのものではないということだ。ガイ・カワサキ...

 

革新的な製品はそれを欲さない大衆向けではなく、それを欲して欲して止まない少数の人に向けて、キリのように鋭く深く突き刺していく様な製品づくりこそが望ましい。

ごく少数の極めてコアなニーズに応えられることで非常に強い顧客満足と顧客評価が得られるだろう。そして、そこからバイラルに評判が広がっていくメカニズムを製品そのものにビルトイン出来れば、過去に成功した既存製品を大いにリプレース出来る可能性が開ける。

大衆向けの平凡な製品は、そこに全くイノベーションが無いのだから付加価値性も低いし、誰の心も打たない。結果、バイラルに広がっていく大きな感動も顧客に与えられない。平均点の機能性能を人畜無害に提供できる製品を幾ら製造したとしても、それを強く欲する人は存在しない。

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ガラケーからガラスマに至る敗北の歴史とは、ごく少数のコアなニーズへの真剣な向き合いが無いからではないか?そしてその極小数のコアニーズとは、まさに開発者自身の「欲望」に他ならない。

黎明期のウォークマンを欲したのはソニー創業者の井深大さんと盛田昭夫さんだった。その強い強い気持ちが人の感動を呼び起こすし、潜在的な巨大ニーズを新市場として掘り起こす。

最近だとアクションカメラ市場トップの GoPro がそうだし(彼らはExtreame Sportsのプレイヤーに寄り添って製品開発した)、 GoPro を表層的に捉えただけの日本メーカーの模倣品は固有の先鋭的製品性を作り出せないので、忠実な顧客を創造することができない(だから価格競争に囚われて安く買い叩かれる)。

忠実な顧客とは「これこそ自分の求めていたものだ!これで世界はもっと素晴らしくなる!」と、直感できる人たちのことだ。

そして、それは創造主たる製品開発者の同胞だとも言えるだろう。その共通認識こそが革新的製品の大きな感動をもたらす。Apple 製品の凄さはそこにあるし(開発したものの感動を味わえる製品を持つ喜び)、それを安易になぞっただけの凡百の製品にはその感動は存在しない。

少数者の強い欲望に向き合う=開発者自身の欲望に心の耳を澄ますことを抜きにして、単なる模倣品を作り続ける製品開発スパイラルを抜けだそう!

買う気のない人に向き合うのではなく、それを心底欲する人に全力で尽くそう!

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