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以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

Thanks, Steve.

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最初の会社でエンジニアリングの仕事が終わってから寮の自室でマックのプログラミングに明け暮れていたら、なんとある日没収されてしまった。メインフレームの価値観からすればパーソナルな独創性、創造意欲は「絶対悪」だったからだ。

でも、そのコンピューターパワーは数億円するメインフレームに既に拮抗していた。マッキントッシュは個人の力が世界を変えられる事を物理的にも可能と信じられた最初のマシンだった。ビジュアル素材を作成してコーディングを施し、出来上がったアプリのプロモーションすら自らのツールで直接出来ることを味わってしまうと、もはやコンピュータ・ルームで面倒な利用申請をしないと四則演算すらできない環境が時代の彼方に去って行く事は明らかだと思えた。そしてその新時代は目の前に現出している。

スティーブジョブズがマッキントッシュで成し遂げた事は極東の若造の脳みそに明らかな化学変化を引き起こしたし、もしもマッキントッシュが存在しなければ僕は未だにCOBOLで金融システムのスパゲッティコードをお守りする仕事で生計を立て続けていたに違いない。そして、それは残念ながら、個人の自由な創造性を無理矢理押し殺す事で成り立っている世界だった。

コンピュータの利用形態はその利用者の思考スタイルすら規定し得るのだ。会社の寮の片隅でちょこんと待ち構えてくれていた自分の相棒を僕は今でも愛して止まない。僕は自分の世界観を限りなく解放してくれたマッキントッシュと、その生みの親への感謝を生涯忘れることはないだろう。

自由は自分自身の創造性によって幾らでも獲得し得るし、その創造性のリミットは本人の既成概念以外はあり得ない。ヒトの自由への意志をマックと言う具体物によって体現してみせたジョブズの仕事。そのうえでさらに何が自分に出来るのか?彼の命日に思いを巡らせる価値は充分にある。

 

(昨年記したブログを多少書き直して再掲 - Steve Jobsを偲んで)

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