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以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

あなたの内的な物語を語ろう!

 

僕はプレゼンが下手だ。

最近気付いたことがあります。自分はプレゼンがメチャクチャ巧いと(調子いいですね!)思っていたのですが、これは完璧に間違いでした。実はテクノロジーが大好きで、自分の作り出す製品が好きで好きで堪らないだけでプレゼンはドヘタです。

この間たまたま講演をさせていただいた際に割と世界的トレンドとしてこういう感じですよ!といった話をベースにやらせて頂いたのですが、それは最悪でした(皆さん、申し訳ない!)。つまり、自分が心の底から情熱を持ってシャウト出来る時以外は全然だめなんだ!と言う事が良く分かりました。逆に言うと、製品の創造性が最大限に確信出来ていて、情熱が最高に燃え上がっているときは世界最強だと言っても過言ではないと思うのですが。

でも、その情熱をプレゼンテーションするとき、これは自分でもよく思うのですが、なにしろ重要なのは「大きなストーリーを自らの言葉で語る事」です。もし、その製品への愛情をパッション全開で伝えようとする時、それが自らの言葉によるオリジナルの物語であれば、きっと自らのコントロールで試合運びを進めることができます。製品価値と企業価値とは、そのように内的な衝動を有した物語を多くの共感・共有へと押し広げて行く行為でこそ届けられるのではないでしょうか?

その物語に巻き込まれる人達がみんな凄く成し遂げたくなる"心を揺さぶる何か"を共有出来ないと難事業を実現するのは困難です。まず、自分と仲間達が本気で自身の価値観として胸中に据えていないと難しい。内的なストーリーをどの位の強度(確信)で持てるのか?というのは、それが巧く行けば行くほど"偉大な詐術"なのでしょう。

ただ、頭で(あるいは言葉だけで)出来ると思っている事と、本当に内部化して相手を圧倒出来る様な強さで実行出来る事との隔たりは大きい。言葉が上滑りになっている事は簡単に覆い隠せないし、そんな上滑りでは他人を巻き込んだ大きな仕事は出来ない。平凡な正直より偉大な詐術を心得ることの強味。

内部化出来ないまま不承不承に手掛ける事は非常に危ういけど、念仏を唱える様に一心不乱にやり続ける事で内部化する術は有る。でも、それは最初から内的要因として有している場合に比べると非常に手間暇が掛かる。動機付けが外側に有るとすれば、いかに素晴らしいストーリーでも人に届かない。とても小さく取るに足らないストーリーでも”内的”な動機付けの有る場合は、非常な強さで人の心を響かせることができるのだ。そうすれば組織も製品も全く違うレベルに変化を遂げるでしょう。 

 

エジソンの境地

エジソンに聴覚障害があった事はよく知られています(学習障害も指摘されていますね)。でも、彼自身は「ブロードウェイでも常に田舎町の様な静粛です」と、かえってより深い思考に浸ることができたと言う利点を述べています。

 内的動機と外的動機と言う事を最近よく考えます。外的動機とは「流行っているから」とか「成功パターンを真似られるから」とかそういった動機付けです。内的動機とは「良く分からないけど物凄く惹かれる」とか「ワクワクして止められないからやる!」そういった動機付けです。そして、そういった内的動機付けは、エジソンの様な深い海に潜る様な内省的思考からしか得られないでしょう。彼のあの類い稀な発明の数々が、彼のハンディキャップを苗床としたと言う指摘にはとても深い気付きがあります。

さて、内的動機があるチームが強くて、外的動機で動くチームが弱いのはなぜでしょう?ひとつの比喩ですが「割とどうでも良い仕事をとてもたくさん(あるいはそれなりに速く)やること」と、「すごく大事な事だけをひとつだけ、もの凄い熱意と狂わんばかりの愛情でやること」とのどちらが「死ぬほど凄い仕事」に到達することが出来るでしょうか?

流行や成功パターンに乗るやり方が(外的動機による進め方)本物の内的動機に突き動かされるやり方に勝てない理由は、その「拙くても、決して効率が良く無くても、結果としては素晴らしい仕事に到達出来る継続的な情熱」がどうしても本質的に欠如しているからの様に感じます。 

ソーシャルプロダクトやモバイルプロダクトはますます人の生活のとても深い部分に浸透してきています。ですから、心の琴線に触れる楽しさや嬉しさに刺さらない限りうまく行く筈がありません。

そして、そのような心の動きに付き添った感動は、きっと内的な動機に依って突き動かされる、例え拙くてもたゆまない執念有る仕事の繰り返しからしか生まれて来ない様に思います。たとえば TwitterTwitterしか作っていませんし、それは FacebookFoursquareにしても同じです。そのコアにある価値観はすごくシンプルですが、それをひたすら繰り返し改善し続ける執念は全く共通です。

 "どうでも良い仕事を素晴らしい手際でキレイにやる事と、死ぬほど凄い仕事をボロボロになっても良いからやり抜く事"の違いとは、スタートアップにこそ与えられた究極的な「勝機」なのだと考えます。組織的で洗練され、効率の良い仕事が必ずしも勝てない。それはある意味、当然の帰結の様に感じます。