以心伝心記

Technology is anything that wasn’t around when you were born.

日本のモノ造りは非常な魅力と可能性に満ち満ちている!

 

セカイカメラへのお問い合わせの中には本当に多種多様な期待感、希望を感じます。それを通じて頓智はセカイカメラの将来性を考えるヒントにしています。ただ、それをアプリケーションの階層だけで捉えるのは非常に限界が有り、本来はデバイスとアプリケーションおよびクラウドの組み合わせとして考えるべきだと思っています。とはいえ、アプリベンダーとハードメーカーの文化、価値観、将来像に関しての溝は非常に深く、コミュニケーションさえままならないのが実情です。

とはいえ、我々はこの未曾有の国難に於いて、それぞれのコミュニティで勝手にやっているよりも多くの智慧と意欲を結びつけて、それこそ日本のテクノロジーが世界を救う!くらいの意志意欲で闘うべきでしょう。また、そういった働きを通じてこそ、多くのスタートアップが世界規模のプラットフォームを実現しようとして世界の壁に阻まれている状況も一気に改善される可能性があるのでは?と考えます。

下は僕が個人的に書き連ねていた日本企業、特にハードウェアメーカーに向けて頓智はセカイカメラを通じてこんなアイデアで貢献出来ますよ!という思いを込めました。これで何か響いてアクションを起こしてくれる技術者の人とか居るとすごく嬉しいです。

 

■日本企業がコンシューマーエレクトロニクスを作っているからこそ持っている優位性を考える

・リアルに人がいるところで人とデバイスがエンゲージできていること。ユーザーのコンシューマー・デバイスに対するエンゲージメントはそもそも非常に深い。デジカメでも車でもそれは同じで、テレビやクーラーなどだって同じこと。 

たとえばSonyの場合はコンシューマー向けパーソナル・デバイスに於けるエンゲージメントが本来非常に高く、その結果として良好なユーザーロイヤリティを獲得している(あるいは"かつて獲得し続けていた")と思う。これはどんどんバーチャルからリアルに向かっているウェブ(スマートフォンアプリを含む)の世界に於いては大きな優位性に転化できる筈。あらゆるデバイス品質、優れたユーザー・インターフェイス、快適なネットワーク・アクセサビリティなどを「コンシューマーデバイスを通じたネットワーキング」へあらゆる製品デザインと製品体験に統合出来るのでは?

コンシューマー向けデバイスの製品開発・品質向上とデジタルネットワークの構築とが本来不可分であり同時に相互補完的であり、さらには新しい付加価値をもたらし得ると考える。仮説的には、透過的なリアリティのネットワーク(拡張現実的レイヤーによって強化された顧客体験)として豊かな顧客接点を提供することでソーシャルやロケーションを融合した顧客価値を恒常的に構成出来るのではないか。ソフトウェアやクラウドが融合する事で、改めて現実空間のオブジェクトやパーソナリティを再編成する。そういったイメージを製品デザインの際のグラウンドデザインとして応用出来るのではないか? 

・一方で、ユーザーは、例えばハードウェアとしてのSonyに思い入れがあり、ネットワークサービスに於ける企業体顧客のエンゲージメントは相対的に極めて低い。

 ・サービスとデバイスは本来2枚看板ではない。例えばアップルの構築したメカニクス。ネットワークサービスの快適性利便性はデバイスが売れる仕組みと表裏一体。みんながネットワークに接続して、楽しむ世界をどのように描くか?の世界観の重要度。

 

■世界初のARデバイスはウォークマンでは?

・PCからスマートデバイスへ、ブラウザからアプリへ、といった流れの中で、今後、人間の機能を拡充する、リアリティのあるネットワークコミュニケーションが実現する。

・頓智のミッションは、「Look Up!Not down」。

上記ミッションステートメントはPC中心のウェブエコノミーに対してのアンチテーゼ。要するに、現実世界そのものがネットワークの接点であって、ディスプレイの膜面でありコミュニケーションのための媒体でもあるという世界観。

あらゆる製品に AR のレイヤーを被せる事であらゆるコンシューマー製品がソーシャル化され、位置情報メディア化されソーシャル・コミュニケーションが簡単にアクセス可能になると言った近未来を準備出来ると考える。

iTunesGoogleが一切無かった時代を知っている世代としては、飛躍的に便利なものが出てきて跳躍的に世界が変わることは容易だと知っている。

・日本のメーカーは大きなチャンスがある。これまでは、クラウドが仮想的にネットワーク化していたが、ソーシャル×スマートフォンが広まることによって、ネットワーク側にあるものが逆流してデバイス寄りへとどんどんシフトしつつある。

もう少し具体的にひもとくとすればここで触れている「デバイス寄り」とはセンサーネットワークのことかも知れない(カメラやマイク、GPS、Wi-Fiなど汎用品を含む)。特にスマートフォンでは、ユーザーインターフェイスや演算能力・表示能力・ネットワーキングなどの進化と同時にあらゆる現実空間のインプットが高度化している。これは端的に言うと、センサーの入力があらゆる形でクラウドへと流入することであり、同時にそれらをマイニングしてユーザー体験に働きかけると言う意味では、顧客体験の拡張にも繋がる。

 

フェイスブックの「次」という視点を無くそう!「次」を狙って次は創造できない。

 ・インターネットメディア業界の日本で先端といわれるプレイヤーにとっても、フェイスブックの次を「オレが作る」という状態では未だない。フェイスブックの次のエコシステムが生まれてくる気配は未だ無い。本当にグーグルが、今、何をしているか(グーグルの土俵は既にリアルワールドに浸食している)を理解している人はおらず、従ってこの延長線上に何があるかはなかなか分かり辛い状況。

・ソーシャルの波は、多くのメーカーにとってオポチュニティになるはず。一方で、メーカーの人たちはあまりにソーシャルについての知見がなさ過ぎる。しかしながら、逆に、グーグル的な知識、視点、考え方がない方が新しい後追いのものを考えない(考えられない?)といった意味ではむしろ良いかもしれない。新しいサービスを作るに際して、ザッカーバーグの先のパースペクティブがないと成立しないというわけではない。

・ツイッターはタイムライン、フェイスブックはウォール、グーグルはサーチ、といった、始まりは取るに足りないひとつの機能モジュール。新しくレイヤーを増やしたことで、コンシューマーサイドが取り立てて(目に見えて)進化している訳ではない。

・例えば、フェイスブックが作ってくれたパーソナルな喜びを開放してあげる方向性。実名で、緊密に、リアルタイムにコミュニケーションできる、ソーシャルグラフは大事。フェイスブックの後追いではなく、その上にどういうサービスを置くか?を考える必要がある。

クラウドネットワーキングがリアリティに降りて来る中でソーシャルグラフはひとつの大きな道筋(=基本機能)と考えられる。現状でも(さらに加えて)インタレストグラフやローカルグラフなどの様々な「繋がり」の可視化がどんどん進んでいる。

そういった 「繋がり」 を通じて、新たなユーザーエンゲージメントが現実空間を通じ生まれて行く機会にこそ 「リアリティに最も近いコンシューマー向け製品を持っている」 事が意味を持つだろう。それがやがてPC中心のウェブ・エコノミーの限界を超える可能性がある。デバイスを開発出来るメーカーの勝機はそこにこそ有る。

 

■どこをオープン化するか?どこをクローズド化するか?それが肝心だ!

・メーカーは、ユーザーのエンゲージメントが強いデバイスを持っている。このデバイスに、現実空間をナビゲートできる機能をすんなり入れることが出来る立場。 

・グーグルが成功した理由は、ウェブのアーカイブが増えたことが背景。Proximityのネットワーク(ニアバイのあらゆる繋がり)が広がると、インタレストグラフが増大し現実空間の情報をナビゲーションすることが必要を帯びる。これこそがソーシャルの次のジェネレーション。

競争戦略的にはクローズド/オープンの使い分け、見極めの戦略は非常に勘所になると考える。が、これが当初からクリアーに見通せていると言う状況は予期し難くて、むしろ、いかに優位性を見出しアジールに戦略組み替えを行えるのか?その創発的チームをどの様に実現するのか(組み替えるメカニズムをどのように内蔵するのか?)の課題ではないかと思う。

これは仮説だが、フェイスブックのウォール、フォースクエアのチェックインなど、実に小さい発明が非常に大きなネットワーク効果をもたらし、新しいエコシステムを準備し得る。これをデバイス側から鋭敏に捉え事業機会化すること。アジャイルなデバイスとアプリケーションの開発投入、改善改良を大胆に行うべき。 

メタファーとしてはクラウドを発電所、 AR 製品を電球だとすると、我々は(既にクラウド発電所はあると仮定して)キラー的な AR 製品の発明にはまだ至ってないのではないかと感じている。この場合のARとはセカイカメラが現在示しているライブビューのフロントエンドに留まらない。あらゆる「現実の可視化とそれとのインタラクションを可能にするデバイスとシステムすべて」を指す。いままでのハードとソフトの二分方をやめよう。クラウドがリアルに繋がった先のデバイスをハードとソフトの融合で考えよう。それを顧客体験の発掘と鍛錬を通じて圧倒的なスピード感とスケール感で進めよう!